シティーポップ考1 松原みきさんのこと
僕が生涯最も愛するシンガー、故・松原みきさんが1979年にリリースした、これまた僕の最愛の楽曲「真夜中のドア」。
41年の時を超え、この曲が昨年秋から今年にかけて、世界中で大ヒットしています。
参加ミュージシャンたちのプロ意識が感じられる名演奏も含め、「真夜中のドア」を、まずはお聴き下さい。
「真夜中のドア〜stay with me」/ 松原みき Official Lyric Video – YouTube
リラックスしてじっくり聴き入ると、寂しさ、切なさが、理屈でなくダイレクトに伝わって来て、涙が滲みます。
Gu.松原正樹さん、Ba.後藤次利さん、Dr.林立夫さんは、当時最高のスタジオミュージシャンたち。エンディングソロは、正樹さんの真骨頂です。
みきさんは、9枚のオリジナルアルバム(ベストおよびカバー除く)を残しました。
僕の推しを4枚紹介します。
2nd : Who Are You?
2曲目Rainy Day Womanは特にお勧めです。演奏も秀逸。
https://www.youtube.com/watch?v=coVUxQXqm9g
フルアルバムはこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=CMSFBTGCLJw
3rd : -Cupid-(←これ、矢が刺さってる)
https://www.youtube.com/watch?v=sp1BcLZ_LsE
「10カラット・ラブ」に始まるファンキーな曲を集めた彼女の新境地。ブラックミュージックのエッセンスを取り入れ、伸びやかな歌声が跳躍します。またそれらの中にあってしっとりとした「スーヴェニール」は、悲しい状況を逆に爽やかに歌う名作です。
https://www.youtube.com/watch?v=fC0H_wIdgdg
♪What’s going on? 5月の窓を開けて吸い込むさ、雨上がり、街のざわめき♩
1985年7月、東京下北沢のライブハウス「T5」。みきさんから3mの距離で、二部構成のライブに僕はじっと聴き入っていました。作曲者・佐野元春さんとの出会いを語った後に歌った「スーヴェニール」。心にしっかり焼き付いています。
ギタリスト森園勝敏さんプロデュースの7th : Cool Cut
https://www.youtube.com/watch?v=qFXTLOknvic
とぼけた味、気怠い雰囲気、時に怪しく、時にコミカルな10曲+美しいバラード1曲で構成された、他のアルバムとは異質の傑作です。この森園ワールドも、みきさんの新境地です。
和田アキラさんも参加しており、ほぼ全編に亘って二人のギターを堪能でき、四人囃子やプリズムのファンも、興味深く聴けると思います。
10曲に亘り炸裂していた二人のギターが、最後の「フレンチシネマ」では、控えめな心地良いダウンピッキングを聴かせてくれます。
キーボードは松浦義和さん。別のチャプターで言及します。
向谷実さんプロデュースの8th : Lady Bounce
https://www.youtube.com/watch?v=33F2EZdpIhI
洗練されたハイセンスなアルバム。さすが向谷実さん、という音作り。ゴージャスなアレンジも見事な、煌びやかなシティーポップです。
このように超一流のミュージシャンたちと共演・共作して来たことは、彼女のボーカルの質の高さの証です。
実は一度だけ、僕はみきさんとお話ししたことがあります。1981年1月初旬、羽田空港で偶然見掛け、タイミングを計り、勇気を出し、失礼のないよう挨拶し、話しかけたのでした。
「札幌でライブの予定はありますか?」
同行者にスケジュールを確認し、
「5月に道新ホールで。とても楽しいコンサートですから、是非いらして下さい。」
そんなことを思い出しました。
話を戻します。
「真夜中のドア」の世界的大ヒットに端を発し、今多くの国や地域で、日本のシティーポップが見直され、ブームを巻き起こしています。日本のシティーポップミュージシャンはMSGを満席にするであろうとの意見まであります。
だからという訳ではなく、たまたま僕も最近、シティーポップばかり聞いています。 このシリーズでは、シティーポップの隠れた名盤を中心に紹介して行きます。