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シネマトーク;砂の器

2020/08/23
 
この記事を書いている人 - WRITER -
メジャーリーグベースボールから透けて見えてくるアメリカの文化や習慣に関する記事、その他、旅、英語、音楽関連の記事を、ちょっと変わった視点で書いて行きます。

野村芳太郎監督1974年公開作品、砂の器。

私はこの映画を、これまで45回観ました。最初の数回は映画館で。続いて、BS放送の録画を繰り返し。近年では、WOWOWのデジタルリマスターを。そしてシネマコンサートを経て最近Huluで3回。

原作者・松本清張さんをして、原作を超えたと言わしめたこの作品。どんな評論や感想にも必ず、日本の美しい四季を背景とした親子の旅が語られます。確かに、原作には描かれていないその放浪が、原作を凌駕した最大の要因でしょう。しかし私が何度も観たくなる理由は、丹波哲郎さん演じる今西警部補と、森田健作さん演じる吉村刑事の、仕事に対する懸命さと事件に対する執念が、うまく描かれていることだと思うのです。

羽後亀田から何の手がかりも得られず帰京する際の、「贅沢な旅行をさせてもらったよ」という今西の言葉に滲む無念さ。継続捜査担当でないにもかかわらずこの事件にこだわり、「紙吹雪の女」に糸口を見出そうとする吉村。出雲地方でズーズー弁が話されているという事実。同地区の地図を買い求め、本庁に戻るのももどかしく喫茶店で地図に亀嵩を見出す今西。居酒屋で吉村にそれらを伝える際の、今西の嬉しそうな様子。紙吹雪の女を叩くための公開捜査にすることが許されない吉村の苛立ち。休日や自費での捜査etc.。

確かにこの映画に描かれている日本の四季は美しい。しかし私は、一心不乱にこの事件を解決しようとする二人の刑事の執念、そこに大きな感動を覚えるのです。

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