MLB通信3;ベースボールよりも大切なこと
これも少し古い話なのですが…
2010年6月2日、デトロイトのコメリカパークで行なわれたクリーブランド・インディアンス@デトロイト・タイガースの3連戦第2戦で、”世紀の大誤審”が起きてしまいました。今では他のスポーツにまで波及し定着している”チャレンジ制度”が生まれる発端となったこのできごとは、日本では、かいつまんだ報道しかなされていません。それを今ここで、詳細に紹介してみようと思います。
タイガース先発のアーマンド・ガララーガ投手は、完全試合達成まであと一人とういところまで来ていました。27人目の打者、ジェイソン・ドナルドの打球は、一塁方向へのグラウンドボール。これを、ミゲル・カブレーラ一塁手が捌き、ベースカバーに入ったガララーガにトス。誰の目にもアウトに見え、完全試合達成かと思われましたが、一塁塁審ジム・ジョイスがセーフの判定を下し、パーフェクトゲームは幻となってしまいました。当時、審判が下したアウト/セーフの判定は、決して覆らないルールでした。リプレイを見ると、一塁ベースの1mも前でアウト。明らかな誤審でした。
試合後、メジャー22年目のベテラン、選手たちからの信頼も特に厚いジョイスは、誤りを認めガララーガに直接謝罪しました。MLBの長い歴史の中で、疑問の判定を下した審判が選手と接触することなどなかったし、ましてや誤りを認めて謝罪するなどあり得ませんでした。ジョイスの、この勇気ある行動に対し、ガララーガは「人間だから誰にも誤りはある」とジョイス審判の胸中を思いやり、柔和な笑顔で謝罪を受け入れました。また、ジム・リーランド監督とタイガース全員は、ジョイスを責めるのではなく、逆に擁護する立場を取り、デトロイトのファンのブーイングは徐々に拍手に変わって行きました。
ジョイスは、翌日ホームプレートアンパイアを務める予定になっていました。これに対し、当時のコミッショナー、バド・セリグは「休養しても良い」と奨めましたが、ジョイスは予定どおり主審を務めることとし、涙を流しながらも堂々と入場しました。この時、多くの観衆が拍手で迎えましたが、ブーイングも混じっていました。ここでリーランド監督はある作戦に出ます。通常、両監督と審判団がホームプレートを囲んで行なう、試合前のオーダーシートの交換とあいさつ程度の短いミーティングに、リーランドは自身の代わりにガララーガを行かせ、ジョイスと握手するところを観衆に見せ、見事に観衆と世論を収めたのでした。
メジャーリーガーたちは、ベースボールに人生を掛けていると言っても過言ではありません。それでも、「試合の勝敗や偉大な記録よりも大切なことがある」ということを、みんな解っているんだな、と感じ、私がMLBを益々好きになった瞬間でした。
尚、冒頭で記したように、このできごとを契機に、2014年シーズンからインスタント・リプレイの適用が拡大されて”チャレンジ制度”となり、その後他のスポーツにも採用されています。インスタント・リプレイ適用拡大の経緯については、今回紹介した内容と併せ、以下に示した旅行記の、「6.あとがき」に記してあります。ご一読下さい。
MLB観戦記3(2013)https://firestorage.jp/download/e0ccb120f434b2ef03cc4ca98977d44b405ea71d
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